○邑楽町手話言語条例

令和6年9月3日

条例第18号

言語は、他者とコミュニケーションを図り、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。

手話は、音声言語と異なり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者は、物事を考え、お互いの気持ちを理解するための言語として、尊厳をもって生きるための手段である手話を大切に育んできた。

しかし、長い間、手話は言語として認められなかったことから、ろう者は、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語であると規定され、群馬県においても平成27年4月1日に群馬県手話言語条例が施行されるなど、手話に対する認識が変わってきている。

これらの経緯を踏まえて邑楽町では、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語の理解と広がりをもって地域で支え合い、手話言語を使って安心して暮らすことができる「共生社会の実現」を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定め、町の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定めることにより、ろう者とろう者以外の者が共生し、また、等しく全ての障がい者の福祉の向上に寄与することのできる地域社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 ろう者とろう者以外の者が、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本として、ろう者の意思疎通を行う権利を尊重し、手話の普及を図るものとする。

(町の責務)

第3条 町は、町民の手話及びろう者に対する理解を促進し、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に努めるものとする。

(県等との連携及び協力)

第4条 町は、この条例の目的及び基本理念に対する町民の理解の促進、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に当たっては、県その他関係団体と連携、協力するよう努めるものとする。

(町民の役割)

第5条 町民は、この条例の目的及び基本理念を理解するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(方針の策定)

第7条 町は、次に掲げる事項を総合的かつ計画的に推進するための方針を策定するものとする。

(1) 手話に対する理解の促進及び手話の普及の促進に関すること。

(2) 手話による情報の発信及び取得に関すること。

(3) 手話による意思疎通支援に関すること。

(4) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める事項

2 町は、前項に規定する方針の策定については、町が策定する障がい者に関する計画等との整合性を図るものとする。

(手話を学ぶ機会の確保等)

第8条 町は、県その他の関係機関、ろう者及び手話に関わる者と協力して、町民が手話を学ぶ機会の確保に努めるものとする。

(学校における手話の普及)

第9条 町は、学校教育における手話への理解の促進及び手話の普及の促進を図るよう努めるものとする。

(災害時の対応)

第10条 町は、災害時において、ろう者が情報を取得し、意思疎通を図ることができるよう、情報の発信及び意思疎通の支援に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第11条 町は、手話に関する取組を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(検討)

2 町は、この条例の施行後3年を目処として、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて、必要な見直しを行うものとする。

邑楽町手話言語条例

令和6年9月3日 条例第18号

(令和6年9月3日施行)